日立ハイテクはパウレックと、全固体電池向け正極活物質のコーティング条件探索に関する実証を完了しました。
両社は、計測データとAI・インフォマティクスを組み合わせ、最適なプロセス条件を導出しました。
この取り組みを「HMAX Industry」のラインアップとして事業化し、Lab to Fabでの開発や量産立ち上げの期間短縮を目指します。
記事の概要
全固体電池では、正極活物質と固体電解質の界面に生じる抵抗体が、出力低下や劣化の要因になります。
対策として、正極活物質の表面にリチウム伝導性の酸化物被膜を施すコーティングが用いられています。
日立ハイテクとパウレックは、装置の運転データや過去の実績データを、コーティング状態の評価結果と統合しました。
日立ハイテクのXRFやSEMを使い、膜厚、被覆均一性、界面特性などを定量的に評価する手法を開発しました。
統合したデータに「PROACCELA」のプロセス・インフォマティクス技術を適用し、高品質で再現性の高い条件を探索しました。
実証では最適なコーティング条件を決定し、粒子コーティングの開発期間や生産立ち上げ期間の短縮につながる手法だと確認しました。
両社は、2030年頃に見込まれる全固体電池市場の本格化を見据え、最適なコーティングプロセスの事業化を目指します。
記事のポイント
- 計測工程を効率化: XRFやSEMを活用し、煩雑な前処理を抑えながらコーティング状態を定量評価する手法を開発しました。
- AIで条件を探索: 装置の運転データや評価結果を統合し、PROACCELAで最適なコーティング条件を導出しました。
- 対象分野を拡大: 今後は電池材料のほか、高機能材料、医薬品、化学分野への展開も検討していきます。
このニュースがもたらす影響
- 導入検討企業: 技術者の経験に依存していた条件探索を、運転・計測・評価データに基づく判断へ移せる可能性があります。導入時はデータ統合と再現性を評価軸にする必要がありそうです。
- コーティング装置企業: 装置単体の性能だけでなく、計測やAIによる条件最適化まで含む提案が競争力になり得ます。装置データを外部分析へ接続できる設計が求められそうです。
- 全固体電池業界: 開発から量産立ち上げまでの条件探索を短縮できれば、材料・装置・評価の協業単位が広がる可能性があります。量産を見据えたデータ活用の設計が重要になりそうです。
このニュースの背景
全固体電池では、正極活物質と固体電解質の界面に生じる抵抗体が、出力低下や劣化の要因になります。
その対策となる表面コーティングは、膜厚や被覆均一性、材料との相性、装置条件など複数の要素を考慮する必要があります。
従来は高度な専門知識や熟練者の経験に依存し、実験や試作を繰り返す条件探索とスケールアップに時間と工数を要していました。
計測データと装置の運転データ、過去の実績データを統合して解析することで、この探索を効率化できる余地が生まれています。
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