スペースシードホールディングスと岐阜大学、生成AIで候補8物質を抽出

スペースシードホールディングスと岐阜大学は、宇宙飛行に伴う遺伝子発現の変化を逆方向に動かす可能性がある海藻由来成分を探索しました。
生成AIで3つの公開データベースを統合し、実験検証の候補となる8物質を抽出しました。
最も多くの遺伝子で逆方向の変化を示した候補は、スチグマステロールでした。
今回の結果は探索的なもので、ヒトでの有効性や安全性を示すものではありません。

記事の概要

解析には、海藻代謝物を収録するSWMD、化合物による遺伝子発現変化を収録するCIGS、NASA OSD-53 / GEO GSE47126を使用しました。
SWMDでは1,191件、CIGSでは13,221化合物と3,407遺伝子の発現データを対象にしました。
NASA OSD-53 / GEO GSE47126では、宇宙飛行士6名の打ち上げ10日前と帰還直後の全血データを比較しました。
データベース間で化合物名を完全一致させた結果、15レコードが一致し、重複を除く8物質を得ました。
宇宙飛行前後で有意に変化した11遺伝子のうち、CIGSでも測定された10遺伝子を解析に使いました。
候補には、アピゲニン、フコキサンチン、フィトール、バニリンなどが含まれます。
スチグマステロールは、HEK293T細胞で対象10遺伝子中7遺伝子に逆方向の変化を示しました。
今後は細胞実験やqPCR、RNA-seqによって、候補物質の作用と解析結果の再現性を検証します。

記事のポイント

  1. 3DBを生成AIで統合: 化合物名の照合や遺伝子発現データの取得、スコア計算に生成AIを活用しました。
  2. 8物質を候補化: SWMDとCIGSの照合で8物質を抽出し、スチグマステロールが最多の7遺伝子で逆方向を示しました。
  3. 実験検証が次段階: 候補物質の有効性や安全性は未確認で、細胞実験とqPCR、RNA-seqによる検証が必要です。

このニュースがもたらす影響

  • 研究開発部門: 公開データの照合を先に進めることで、実験対象を絞って検証計画を組みやすくなります。ただし、細胞実験で再現性を確認する工程を前提に、AIの判定結果を意思決定の補助として扱う必要があります。
  • 素材開発企業: 海藻や機能性素材を扱う企業は、成分の知名度ではなく、遺伝子発現データとの整合性を起点に研究テーマを選ぶ余地が広がります。細胞種による差を比較できる評価設計が競争力になりそうです。
  • 研究データ基盤担当: 異なる公開データベースを完全一致でつなぐ手法は、再現性を保ちながら探索を自動化する一例です。識別子の不一致で候補を取りこぼす制約もあるため、照合精度と網羅性のどちらを優先するかが問われます。

このニュースの背景

宇宙飛行前後のヒトの遺伝子発現、化合物による発現変化、海藻由来成分の情報は、それぞれ別の公開データベースに蓄積されています。
データベースごとに化合物名や遺伝子などの識別子が異なるため、相互照合には専門知識と手作業が必要でした。
今回の解析では、こうしたデータの取得や照合、スコア計算に生成AIを使い、実験前に評価対象を絞り込む流れを構築しています。
一方で、候補物質の有効性や安全性は未確認であり、細胞実験やqPCR、RNA-seqによる検証が次の段階になります。

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