パナソニック ホールディングスとパナソニックR&Dカンパニーオブアメリカは、触覚に応じて動作を補正するロボット操作AIを共同開発しました。
カリフォルニア大学バークレー校やNVIDIAなどと開発した「T-Rex」は、視覚・言語と指先の触覚を統合します。
接触を伴う12種類の実環境タスクで、平均成功率65%を達成しました。
記事の概要
開発したAIの名称は「Tactile-Reactive Dexterous Manipulation(T-Rex)」です。
視覚と言語から動作を生成するVLAモデルに、10本の指先から得た力や変形の情報を統合しています。
視覚・言語に基づく動作生成モジュールは約5 Hzで動作し、触覚による動作修正モジュールは約20 Hzで動作します。
研究チームは、200種類を超える日用品と22種類の基本動作を組み合わせ、7,700件超、計100時間の両手ロボット操作データを収集しました。
T-Rexは、22,889時間の人の一人称視点映像で事前学習した後、触覚付きデータと作業ごとの約100件の実演データで学習しました。
ページめくりや卵の移し替え、鍵開けなど12種類のタスクで評価し、平均成功率65%を記録しました。
比較手法の平均成功率は35%で、触覚情報を除いた場合は42%でした。
本研究成果は、2026年11月9日から12日まで米国オースティンで開催されるConference on Robot Learningで発表されます。
記事のポイント
- 視覚と言語を触覚で補完: 視覚・言語で作業の大枠を生成し、触覚で滑りや押し込み過ぎをリアルタイムに補正します。
- 12タスクで成功率65%: 接触を伴う実環境タスクで平均成功率65%を達成し、比較手法の35%を30ポイント上回りました。
- 製造・物流への応用: 部品の挿入やねじ締め、柔軟物や壊れやすい物品の扱いへの活用を目指しています。
このニュースがもたらす影響
- 導入を検討する製造企業: 部品の挿入やねじ締めなど、接触状態に応じた調整が必要な工程では、視覚中心のロボット導入計画に触覚センサーと高速制御を組み込む検討が求められそうです。
- ロボットAI開発企業: 触覚を加えるだけでなく、約5Hzの動作生成と約20Hzの動作修正を分けて設計した点から、今後はセンサー、学習データ、制御周期を一体で競う開発が進む可能性があります。
- 製造・物流の現場: 平均成功率は65%にとどまるため、すぐに幅広い自動化へ移行するというより、壊れやすい物品や柔軟物など対象を絞った実証で、作業者の負担軽減につながるかを見極める段階と考えられます。
このニュースの背景
従来のVLAモデルは主にカメラ映像に依存しており、細かな力加減や接触状態の変化を伴う作業への対応が課題でした。
触覚を利用する場合でも静的な情報として扱うことが多く、高速な反応に必要な制御頻度との隔たりがありました。
さらに、触覚情報を含む大規模な学習データが乏しいことも、ロボットが接触動作を学習する際の制約になっていました。
こうした課題を踏まえ、視覚・言語による動作生成と触覚による高速な動作修正を組み合わせる研究が進められました。
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https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000006949.000003442.html