国内電通グループ、AIネイティブ化を加速する独自のAI戦略「AI For Growth 2.0」を発表

国内電通グループの株式会社電通総研、株式会社電通、株式会社電通デジタル、イグニション・ポイント株式会社の4社は、2024年5月19日、新たなAI戦略「AI For Growth 2.0」を公開しました。この戦略は、独自のAIアセットと最先端のAI技術を融合させ、マーケティング領域の「AIネイティブ化」を目指すものです。

「AI For Growth 2.0」とは？

「AI For Growth 2.0」は、2023年8月に発表された初代「AI For Growth」を刷新し、より高度なAIモデルによってマーケティング手法に革新をもたらす戦略です。人間の知（Intelligence）とAIの知を掛け合わせることで、顧客や社会の持続的成長に貢献することを目標としています。

同戦略の特徴は、電通グループが保有する大規模調査データや専門人財の知見をAIに組み込み、マーケティングの全工程をAIエージェントで支援する「AIネイティブ化」です。これにより、業務効率化だけでなく、価値向上や事業成長も同時に実現します。

大幅に進化した独自AIモデル

1億人規模の「People Model」

「People Model」は、電通が独自に構築した大量の調査データを用い、大規模言語モデル（LLM）でファインチューニングすることで、1億人規模の高精度なペルソナを仮想的に再現します。従来のペルソナ分析に比べ、多人数・多層の複雑なペルソナ群を自在に設定できるため、未知の質問に対するアンケートシミュレーションやマーケット分析が迅速かつ高精度に行えます。

• 設問数に制限がなく、コンセプトやクリエイティブアイデアの高速検証が可能
• 調査対象者の確保が困難な属性への自由な仮想インタビューを実施できる

この独自のアンケート機能は現在特許出願中で、マーケティング調査の未来を大きく変えるポテンシャルを秘めています。

「Creative Thinking Model（創造的思考モデル）」の機能拡充

「Creative Thinking Model」は、クリエイターやプランナーなど社内の専門人財の思考法やアイデア発想プロセスを学習したAIです。2024年8月に発表されたAI広告コピー生成ツール「AICO2」に続き、東京大学AIセンターとの共同研究の成果を活かして、ビジュアルアイデアの生成機能を大幅に強化しました。

このビジュアルアイデア生成は従来の手法と比較して有意に向上しており、専門人財のノウハウをAI化した手法として特許出願中です。これにより、クリエイティブ業務の質とスピードが飛躍的に向上することが期待されています。

統合マーケティングAIエージェントの開発

これらの高度なAIモデルに加え、電通グループは「AIQQQ FLASH」「AIQQQ TALK」、電通デジタルの「∞AI🄬」、そして「AICO2」など複数のAIアプリケーションを連携させた「統合マーケティングAIエージェント」の開発を進めています。

このAIエージェントは、ユーザーとの対話を通じて最適なマーケティング施策を自律的に導き出すことが可能で、グループ内活用にとどまらず、今後は顧客向けのサービス提供も視野に入れています。

AI人財育成にも注力

電通グループ全体でのAI活用推進のため、2024年11月時点で国内グループ39社の従業員1,114人が「ジェネラリスト検定（G検定）」を取得し、AI・ディープラーニングのリテラシーを高めています。これにより、社内業務の効率化と提供サービスの高度化が加速されている状況です。

マーケティングの未来を切り拓く「AI For Growth 2.0」

電通グループの「AI For Growth 2.0」は、AIと人間の知を融合させることでマーケティングに革命をもたらし、顧客と社会の持続的成長を支える戦略です。独自のAIモデルによるペルソナ再現や創造的思考のAI化、そして統合AIエージェントの開発は、業界全体に大きな波紋を投げかけるでしょう。

これからのビジネスにおいて、AIネイティブ化は避けて通れない潮流となります。経営者やビジネスマン、技術者の皆さまは、国内有数の広告・マーケティング企業が推進する本戦略に注目し、自社のAI活用の可能性を再考する貴重な機会と言えるでしょう。